平成27年度中国四国グループ内治験研修会報告

治験研究会会長

                           板野 亨

 

 平成27年10月23日(金)から24日(土)の2日間、岩国医療センターでCRCをはじめ、様々な職種を対象とした、平成27年度中国四国グループ内治験研修会が行われました。
 国立病院機構では、治験・臨床研究に特に力を入れているため、薬剤師も積極的に治験業務に関わることが求められており、治験研究会では本研修会の企画・運営について協力を行っています。

治験開会式開会挨拶治験院長挨拶

院長挨拶

 1日目はまず、治験基礎講義として、『臨床研究 専門用語・基礎用語講座』で、治験・臨床研究がどのようにして実施されるのか、全体の流れがつかめるような講義を行いました。
 次に、国立病院機構(NHO)本部の治験専門職を招いて、『NHOが取り組んでいる治験・臨床研究の現況について』について講演いただきました。NHOの概要、NHO本部の機能と治験に対する取り組み、臨床研究に対する取り組み、開発力向上のための教育について講演いただきました。その後、受講生に事前アンケートで聴取した、NHO本部治験推進室に対する要望や、日常業務の対応等で聞きたいことをもとに、NHO本部に対しての希望や治験活性化に向けた取り組み、NHOネットワークに期待されていることなどについて総合討論を行いました。
 また、本年度は医師の講演として、呼吸器内科医長で日本臨床腫瘍学会がん指導医の先生より、『治験と臨床研究について~エビデンスをつくるために~』について講演いただきました。がん治療における臨床試験を分かりやすく話していただき、さらに、日常聞くことのできない実際の経験をお話いただき大変貴重な講演になりました。
 『治験薬管理について』の講義については、治験薬について、治験薬におけるGCP関連、医療機関での治験薬管理の実際についての講義を行いました。
 『トピックス紹介 明日のグループワーク、事例検討』については、実際に経験した事例と対応についての6つのテーマの紹介を行い、翌日のグループワークで問題点や解決策が討論できるような講演にしました。

治験講演1

治験講演2

講演

 1日目が終了後、岩国医療センター治験管理室のご協力で懇親会を開催しました。岩国の銘酒「獺祭」を味わえる店で、職種や施設を越えて意見交換や情報共有をすることができ、各施設の治験に係る幅広い職種とつながりができる会になりました。
 2日目の講演で、最初に、欧州製薬団体連合会(EFPIA)Japan臨床部会から講師を招いて『実施医療機関に求めること~治験依頼者と実施医療機関のより良い協働を目指して~』と題して、国際共同治験の意義と日本の現状、治験環境の変化と最近の動向、原資料のマネジメントとしてALCOAの原則と実際の業務について、講演いただきました。
 その後総合討論として、受講生に事前アンケートで聴取した、治験依頼者に対して聞いてみたいことや、日常業務の対応等で聞きたいことをもとに、治験実施施設の選定要件や治験における原資料の取扱など、NHOが治験を依頼される施設になるためにEFPIAの方と治験専門職を交え総合討論を行い貴重な意見交換ができました。
 その後、『CRCの経験談、やりがい、失敗談』と題して、中国四国地区国立病院各施設の協力で、看護師CRCより、CRCになった経緯、CRC業務のやりがいや、被験者の方とのかかわりなど現在の業務についてお話しいただきました。
 『治験・倫理審査委員会事務局業務』についての講義では、治験依頼から、治験審査委員会、治験契約、治験実施、治験終了までのプロセスと倫理に関する事項の理解を深めることができました。
 午後からのグループディシカッションでは、日頃機会が少ない、EFPIAの方や治験専門職を交えて討論することが出来ました。前半として『現在の業務において困っていること』『他部署とのよりよい関係づくりへの取り組み』『製薬企業(依頼者)に対して実施施設が望むこと』という3つのテーマを設け、その中で特に解決したいテーマについて、各グループに別れて討論しました。後半では、昨日の事例検討の中から各グループ好きなテーマを選んで討論を行いました。共通な問題点など活発に意見交換ができ、明日からの日常業務につながる有意義な時間になりました。

治験グループディスカッション

グループディスカッション

治験発表

発表

 今後も様々な職種を交えて、施設を越えたネットワークを構築し、治験業務の推進を図ることを目的としてこの研修会を継続し、次世代の治験担当者を育てる取り組みにも力を入れていきます。
 最後になりましたが、欧州製薬団体連合会(EFPIA)Japan臨床部会のアストラゼネカ株式会社ご担当者、国立機構本部治験専門職をはじめ、各施設の皆様方のご協力のおかげで本治験研修会を無事開催することができましたこと、御礼申し上げます。